少し遅れ気味だった今季の〈四万十の酢みかん・ぶしゅかん〉
こんにちは、安住庵・支配人の渡邊です。
25年ほど前、高知に来て初めて聞いた〈酢みかん〉という言葉。
みかんやグレープフルーツなどのような果実そのものを食べるフルーツでなく、お料理にスパイスとしてその果汁をふりかける柑橘類のこと。
唐揚げに添えてあるレモンといえばわかりやすいでしょうか。
私が生まれ育った関東ではこれが重要な役割になることはなく、特にこれといった呼び名はなかったような。
高知県には独特の酢みかん文化があり、こだわりをもってお酒やお料理に幅広く使用されています。
馬路村のゆずやお隣・宿毛市の直七など酢みかんと呼ばれるものは数多くありますが、ここ四万十では何といっても〈ぶしゅかん〉です。
毎年8月の終わり頃から10月くらいにかけて、民家の庭先でもたわわに実っているのをよく見かけるぶしゅかん。
それが今年は9月になってからようやく店頭にも並ぶように。
なんでもこの前の暖冬が影響しているようで、例年冬の間活動が鈍くなり冬眠しているカメムシがゴソゴソと動き回って果物を食い散らかしてしまったようなのです。
「今年はカメムシにやられてさんざんだった」と果物農家さん。
ぶしゅかんは栽培に手間がかからず、毎年この時季になると勝手に実を付けるのですが、今年は異例だったようですね。
9月も半ばになって出回り始めてもまだまだゴルフボールほどの小粒です。
それでも爽やかな独特の香りはいつもどおり。
当庵で取り扱っている〈マキノジン〉のジンソーダの付け合わせはレモンからぶしゅかんに変えています。
レモンよりも酸味が強すぎず、上質なジンをより引き立たせてくれます。
その他焼魚やお刺身にも相性抜群で、さっとひと振りすることでお料理もワンランクアップした一品に。
ぶしゅかんは何故か四万十川と黒潮の入り混じる河口でしか育たないとか。
生のぶしゅかんは10月頃までは楽しめますので是非旬の時期にお試しください。
また、加工されたぶしゅかんサワーのシロップやぶしゅかんジュースは通年で取り扱っていて、よくご注文をいただく人気の飲み物ですので女性にもおススメです。