夕食で食べきれなかったお料理、「お部屋に持っていきたいんですけど」と言われたら
こんにちは、安住庵・支配人の渡邊です。
同じお夕食プランでご予約をいただいた場合、当然ながらお料理は老若男女みな同様のものをお出ししています。
体格の良い男性でも食の細い方がいれば、ご年配や女性でもたくさんお召し上がりになる方もいらっしゃって、これは本当に個人差があります。
それを宿側で外見で勝手に判断して内容を変えてご用意するわけにはいきません。
でも中には食べきれなくてお料理が残ってしまうことも。
そんな中ごくたまに、「これ、お部屋に持っていきたいんですけど」と言われることがあります。
こうした時、当庵では決まって次のようにお応えしています。
「大変申し訳ありませんが、〈食品衛生上〉固くご遠慮いただいています」と。
食事を提供する宿泊施設はすべて旅館営業とは別に〈飲食店営業〉の許可を取る必要があり、所轄の保健所の管轄となります。
常日頃から衛生面については定期的に指導があり、食中毒やノロウィルスの感染を回避するよう努めています。
食べきれない料理をお部屋に持ちかえったら、それをいつ召し上がることになるのかこちらでは把握できません。
デザートなど要冷蔵のものなど常温でしばらく放置してから食された場合、一気に健康被害の危険性が高まってしまうのです。
こういった理由から、お夕食でご用意したお料理はその時間内にその場所でお召し上がりいただくことを、言うなれば〈当庵のお食事のうえでのルール〉としています。
また、ご到着があまりに遅くなり夕食時間に間に合わない場合でも、この食品衛生上の問題が出てきます。
夕食時間の最終のスタート時間は午後7時からとしていますが、ご到着が9時になってしまう場合などは、お食事処でご用意することができなくなります。
こうした時は、ご到着のお時間に合わせて〈お重弁当〉の形式でお部屋にご用意することにしていますが、やはり食品衛生上、刺身等の生ものは入れることができません。
こういった対応をすることで〈宿で決めたルールを押し付けている〉というお叱りをいただいたこともあります。
説明不足で真意をお伝えできず大変心苦しいのですが、こちらが面倒だとか早くかたずけたいとかの理由ではないのです。
あくまで〈食品衛生の観点〉からのことなので、今後もお持ち帰りのご希望などにはお応えすることはできません。
飲食を提供するお店は皆どこもこの問題については非常にシビアで、昨年にはHACCPという衛生管理の取り組みについての制度化が行われました。
〈店側の都合で〉ということでは決してなく、なあなあで済ますことができない問題であることをご理解いただければと思います。