〈カナメモチの花咲く頃〉はいい季節でもありやっかいな季節でもある
こんにちは、安住庵・支配人の渡邊です。
生長が早くて丈夫な常緑樹である〈カナメモチ〉。
垣根としてもよく植えられているカナメモチは春先に赤い新葉を出すのが特徴で、ちょうど今時分道路脇の生け垣が真っ赤に連なっているのを見かける方も多いのでは。
当庵でも目隠しや境界線の目的で裏庭や温泉露天風呂の浴槽脇に植えていますが、秋ではないのにまるで紅葉しているかのように。
新緑が鮮やかな季節の中で赤のコントラストがとても目に優しく映ります。
そしてちょうど今頃から白い小さな花をたくさん咲かせるようになり、カナメモチとしては一番の見せ場なのでは。
ちょうどこの時季は冬の寒さはとうに過ぎ夏の暑さはまだまだこれからなので、観光には一番気候が安定している一年のうちでも一番いい頃合ではないでしょうか。
ところがこのカナメモチの白い花、別のことでは少々やっかいな事態が。
開花の時期が終わった5月~6月頃になると一斉に散り始め、白いじゅうたんのようになるそれはそれで綺麗なのですが、これが露天風呂の浴槽に落ちるとまるで虫が浮いているかのように見えるのです。
さらには近くにある栗の木が芽吹き、風にあおられて飛んでくるその胞子と相まって、見た目にあまりよろしくないような状態になることも。
まだ夏の虫が発生するには早い時季なのに、その頃にご利用いただくお客様からもたまにご指摘をいただきます。
それもこれも周りを樹々に囲まれた地域では唯一無二の開放的な露天風呂であるがゆえ。
温泉は定期的にオーバーフローされ、人的にもできる限りお客様の利用していない時間帯を見計らってこまめに網ですくっています。
決してそのまま放置しているわけではありませんが、なかなか完璧には取り切れずに。
周りの目を気にすることなく自然と一体となり、季節ごとの花鳥風月を五感で感じられるという事は、いい面だけでなくこういったデメリットも併せ持ってしまいます。
どうか当庵の環境をご理解いただき、寛大なお心でご容赦くださいますようお願い申し上げます。